Inventory for Japanese Chemical oceanographic Data
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about IJCD

データインベントリとは,データがどこに,どのような形で存在しているのかを示し,データの所有者やデータの利用可能性を明確にするための情報で,所在情報とも言われます.これとは別に,各観測航海の航海名,観測船名,観測機関,観測海域,データの公開状況など,データの属性を示すメタデータが存在しますが,データインベントリは,そのデータの採られた航海を一意に決められるよう,メタデータの中から選びだされた項目で構成されます.その特性を活かして,公開可能なデータをデータインベントリとリンクさせて,データ検索・ダウンロードに利用している例もあります。海外の既存のインベントリの代表例として,WOCEの cruise list や,北大西洋の研究者グループによる CARINA (Carbon dioxide in the North Atlantic Ocean,データは非公開) が挙げられます.特にWOCEのように,データだけでなく,メタデータをも繋ぐことによって,データ利用者により多くの詳細な情報を提供する方法は,非常に有意なデータ提供の方法であると考えられます.

また,個人単位で分散したデータの所在確認にデータインベントリを利用することもできます.研究者個人で所有しているデータでも共同研究等に活用したいときに,データインベントリに登録し情報を公開することで,他の研究者にそのデータの存在を知らせることができます.

このデータインベントリを活用して,日本国内の海洋化学系データの統合にむけた研究者間の連携を進めるため,有志による作業部会が2000年7月に結成されました.Inventory for Japanese Chemicaloceanographic Data (IJCD) は,この作業部会で作成されている,海洋化学系データのデータインベントリの名称です.2002年3月現在,IJCD作業部会の参加研究者は17名,参加研究機関は13機関,そして登録されている航海数は182です.

当初は,溶存無機炭素もしくは全炭酸 (DIC), CO2 フガシティー (fCO2), pH, そして全アルカリ度 (TAlk) といった CO2 関連項目を観測した,北太平洋における航海の情報が主体でした.これを,CO2 関連項目以外の海洋化学系観測項目である,溶存酸素, 栄養塩, 炭素同位体 (C-13, C-14), フロン, SF6 等の化学トレーサなどを観測した航海まで対象を広げ,海洋化学系データインベントリとして発展させました. 現在は,データ統合の第一歩の作業として,過去の観測航海の情報をまとめることに重点を置いておりますが,将来的には,日本海洋データセンター(JODC) に公開可能なデータから収集し,IJCD内のデータインベントリにリンクして,データベースとして活用する計画です.

IJCDの活動としては,国内の情報収集に留まらず,海外の研究者との交流も活発に行なっております.米国の National Oceanographic Data Center (NODC) および Carbon Dioxide Information Analysis Center (CDIAC),カナダの Institution of Ocean Science (IOS) との航海情報の交換,PICES Working Group 17 (旧 Working Group 13) への参加,CO2 データ統合ワークショップ (PICES/TCODE CO2 Data Integration Workshop) の開催などです.特にこのワークショップは,研究者とデータ管理者とが同席するのが大きな特徴です.これまで多くみられた純粋な学術的会合よりは,データの持つ学術的意味を踏まえたデータ管理システムを考える技術的な内容が含まれている点において,データ統合に向けてより発展した形の会合ではないかと考えられます.PICES/TCODE CO2 Data Integration Workshop では,PICES CO2 related data integration for the North Pacific (PICNIC) の名称で,IJCDを日本国内版から海外提携版へと発展させたデータインベントリを作成することを決定し,その作業はIJCDが中心となって行なうことも併せて決められました.PICNICは,CO2 関連項目を観測した航海に重点を置き,現在3ヶ国の参加機関に限られているインベントリを,PICES参加国全ての研究機関のインベントリへと拡張する予定です.